GCスリランカとの協力~スリランカの水プロジェクト~
GCスリランカと協力し、スリランカの乾燥地域で恒常的な水不足や不衛生な水に悩む集落に深井戸、濾過設備、給水タンク塔などを組み合わせた給水システムを整備し、安定的に清潔で安全な水を集落の各世帯に供給するプロジェクトです。給水システム完成後の維持・管理は住民たちが中心になって行っていきます。
<水プロジェクト 第1弾>
スリランカ東部のプラウェリ村(アンパラ郡) 2015年9月 完成・給水開始
(約200世帯、約1,000人)
プラウェリ村は、乾燥地域にあって年間降雨量が少なく、水プロジェクト完了以前は、住民は清潔で安全な水を確保できない環境にありました。わずかに確保できる水は汚く、飲み続けた住民に下痢や赤痢などの不衛生な水が原因の病気が多く発生していました。また、2009年まで続いた内戦の影響で村の復興も遅れていました。
水プロジェクトでは、清潔で安全な水を供給するべく、深井戸、汲み上げポンプ、濾過装置、給水タンク塔、給水パイプラインなどを組み合わせた給水システムが建設され、2015年9月より給水が始まりました。なお、水供給システムの維持・管理は住民たちが中心になって行っていくことになっています。
給水開始から約1年半が経過した2017年2月には、住民からは、水供給システムのお蔭で安定して清潔な飲料水が確保でき、住民の健康面が改善されてきていることに対する感謝のメッセージと、住民たちの手による水供給システムの維持・管理も順調に行われていることなどが、 GCスリランカとGCJに宛てて報告されてきています。
プラウェリ村の住民からの感謝のメッセージ(2017年2月)
プラウェリ村を管轄する地元のマハオヤ保健所からは、水プロジェクト完了以降、水質が原因と考えられる重大な病気、赤痢、A型肝炎、腸チフスの症例が消滅したとの報告が有りました。2015年以前は、約200世帯、約1,000人の住民の中から毎年数例の病気の診断が有りましたが、2016年に入ると、各病気の症例がゼロになりました。これは、水プロジェクトで良好な質の水が供給されるようになったことが要因と推定されます。
マハオヤ保健所からの報告(2017年2月)
<水プロジェクト 第2弾>
スリランカ北東部のマハワリターナ村(ポロナルワ郡) 2018年10月 完成・給水開始
(約230世帯、約1,000人)
2017年5月からスリランカ水プロジェクトの第2弾として、スリランカ北東部の乾燥地域、マハワリタナ村(北中部州・ポロナルワ郡)において、GCI、GCスリランカとGCJが共同で整備を進めてきた水供給のためのシステムが2018年10月に完成し給水を開始しました。この水供給システムは、深井戸(深さ:約60m)から水を汲み揚げて、送水管、濾過設備、給水タンク塔、給水管を経由して各戸へ清潔、安全な水を供給するものです。水供給システムの完成により、村民約1、000人(230世帯)が水プロジェクトの恩恵を受けることになります。この村は、乾期(1月~7月ごろ)には水が完全に干上がり、村民は今までは 遠い場所へ3~4時間も歩いて水を汲みに行かなければなりませんでした。日頃から汚い水を使って生活していたため、高齢者の間では腎臓障害、子供たちは排尿に障害と、汚染された水が原因とする病気に長く悩まされてきました。そのため、子供たちはしばしば学校を欠席することが有りました。清潔、安全な水の供給により、今後の村民の健康状態の向上が期待されます。水供給システムの整備のための工事には、村民は生業でもある忙しい農作業の合間を縫って、ボランティアで送水管用敷設用の溝掘りなどの肉体労働作業を行い水プロジェクトに協力しました。完成後は、村民が組織した水委員会を通して村民の力で各戸からの水料金徴収、設備の維持、管理を行っていくこととなります。 このたびの水供給システムの完成と給水開始を記念して、10月27日にマハワリタナ村の完成した給水タンク塔の前の広場で、村民約1,000人が集まっての完成式典が開催されました。来賓としてスリランカ政府の閣僚、県と郡の議員、役人、そして日本からはGCJの岩﨑理事長と川本国際部長が列席しました。 完成式典の中では、スリランカ政府よりGCJの岩﨑理事長に対し今までの同国への貢献と業績を認め「スリランカ親善大使」の任命・授与が行われました。
完成した給水タンク塔。
230世帯に向けて1日あたり総量
4万6千リットルの水が供給可能。
完成式典に参列した村民
完成式典で挨拶するGCJ岩崎理事長
<水プロジェクト 第3弾>
スリランカ東部のタンピチヤ村(アンパラ郡)2019年10月 完成・給水開始
(285世帯、約1,300人)
乾燥地域にあって年間降水量が少ないタンピチヤ村では、住民の水不足解消のために9年前に井戸・給水システムが国際慈善団体の寄贈により運用を開始したが、4年ほど前から濾過設備などの故障などによりそのまま放置され住民への水の供給が止まり、住民は飲用水、生活用水の確保に苦労していました。そこで、GCスリランカとGCJが共同で、放置されていた既存の給水システムの濾過設備、水タンク塔の改修工事を2019年4月より行い、同年10月に改修工事が完了しました。タンピチヤ村の住民は約4年ぶりに深井戸から汲み上げられた清潔で安全な水を再び利用できることとなりました。
今後も、スリランカ国内の水問題に悩む別の地域でも同様の水プロジェクトを行う予定です。